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愛先生のブログから 常在菌と細菌・ウイルス
5月末に開催された第126回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会に参加してきました。
ん゛ー、、。勝手に画像が回転したまま戻らない(T_T)。
さて、当院はおかげさまで5月11日に開院3周年を迎えました。
開院当初から「ブログに書きたい」と思っていたテーマがあります。
「抗生剤について」、です。
なかなか重い腰が上がらず、のばしのばしになっていましたが、今年こそ書くぞ!とここで宣言したいと思います。
抗生剤のお話をする前に
・常在菌について
・細菌とウィルスについて
から始めた方がいいかなぁ。どう書いたらわかりやすいかなぁ、、。
いろいろ考えています。
さて、抗生剤についてブログに書くと宣言しましたが、なぜ書こうと思ったのか、です。
風邪の治療には抗生剤と思っていらっしゃることがとても多いのですが、実は大多数の風邪には抗生剤は効きません。
でも、風邪をこじらせると結局抗生剤が必要になることがありますし、何より患者さんからの希望が多いので、風邪には抗生剤を処方しています。
しかし、抗生剤にはメリットもありますが、デメリットもあります。
デメリットについて、短い診察の間に話すことが難しいです。
かいつまんで話しても患者さんには刺さらなくて「でもやっぱり抗生剤を処方してください」といわれてしまいます。
なので、ブログにしっかり書きたいな、と思ったわけです。
いきなりデメリットの話をしてもわかりにくいので、順を追って話していこうと思います。
まずは、ウィルスと細菌の話から始めますね。
鼻風邪やのど風邪、それはたいていウィルスのしわざです。
時々、細菌も悪さをすることがあります。
「ウィルス」と「細菌」。
みなさん、同じようなものだと思っていませんか?
実は全く別の存在で、いろいろ違いがあります。
ここで覚えてほしい違いは3点あります。
①大きさ
②仲間を増やす方法
③治療法
です。
①大きさについて
ウィルスも細菌もどちらも肉眼では見えないくらい小さいですが、ウィルスの方がさらに小さいです。
②仲間を増やす方法について
ウィルスも細菌も仲間を増やして生きていかなければいけません。
しかし、ウィルスは、自力で仲間を増やすことができません。誰かの細胞の中に入って、その細胞が持っている機能を拝借しないと仲間を増やすことができないです。
一方、細菌は自力で仲間を増やすことができます。
③治療法について
風邪の治療には「抗生剤」と思っている方が多いと思います。
しかし、ウィルスが原因の風邪には抗生剤は効きません。インフルエンザウィルスや帯状疱疹ウィルスなど、一部のウィルスには抗ウィルス薬があったり、ワクチンで予防できたりしますが、鼻風邪やのど風邪の原因となる大多数のウィルスをやっつける薬はありません。しっかり養生して自分の免疫で治す必要があります。
細菌が原因の風邪には抗生剤が有効です。
「実は鼻や口の中はバイ菌だらけだ」
なんてことを聞いたことがありませんか?
前回「ウィルスと細菌」の話をしましたが、ここでいうバイ菌とは細菌のことです。
そう、鼻や口の粘膜にはたくさんの細菌がいるんです。
「細菌」というと、、
こういう顔つきのヤツを想像しませんか?
しかし、普段、鼻や口の中にいる細菌はもっと穏やかないいヤツです。
こんな感じ。別人のよう。
みんな仲良く粘膜の表面で暮らしています。
彼らを「常在菌」といいます。
そして粘膜表面で暮らすコミュニティのことを「常在菌叢」といいます。
叢(そう)は、くさむらという意味です。
粘膜の表面でくさむらのように細菌が広がっているのですね。
どんなタイプの細菌が常在菌になるのでしょう。
多くはおとなしい性格の細菌、つまりあまり悪さをしない病原性の低い細菌です。
しかし、一部には病原性を持つ細菌もまじっています。
病原性をもつ細菌は、普段はいい子ちゃんになって、みんなと仲良くしていますが、常在菌同士のバランスが崩れるとトラブルを起こすことがあります。
常在菌はどんな働きをしているでしょう。
感染防御です。
ウィルスや病原菌(悪い細菌)が、ヒトの粘膜に入ってくるのを防いでくれています。
また、私たちの免疫細胞を刺激することで、私たちの防御力を高めてもくれます
















