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ブログ

2025-07-30 16:35:00

あい先生のブログから 抗生剤のデメリット①

抗生剤のデメリット:耐性菌の問題

抗生剤による攻撃を受けると、細菌のほうは「なんとか生き延びよう」とします。

すると「抗生剤に対抗する術」を獲得してしまう菌がでてきます。

このようにして抗生剤が効きにくくなった細菌を耐性菌といいます。

 

耐性菌ができる要因

・抗生剤を必要ないにもかかわらず使いすぎる

・中途半端に抗生剤を使う

 

といわれています。

複数の条件が重なって耐性菌が生まれるといわれているので、抗生剤を何回以上使ったらダメというのは決まっていません。

中途半端に抗生剤を使うとダメなのは、生き残った菌が耐性を獲得しやすいといわれているからといわれています。

 

しかし、この耐性菌、どこか他人事だと思っていませんか?

 

「私たちの粘膜の表面には常在菌叢がある。

常在菌叢の中には少数派だけれど、病原菌もいる。普段はいい子ぶっているけれど、常在菌同士バランスが崩れると、いい子の仮面がはがれて、私たちに牙をむく。」

という話をしました。

 

風邪に抗生剤を使い続けるとどうなるでしょう。

そのうち「抗生剤に対抗する術」を身に着け、常在菌が耐性菌になってしまいます。

常在菌叢の中にいる病原菌まで、耐性化した病原菌におきかわってしまうのです。

 

つまり、自分が持っている常在菌の中に耐性菌がひそんでしまうということです。

 

風邪をこじらせて細菌感染になる度に、その耐性菌が悪さをすることになります。

すると、どんどん強い抗生剤を使わなくてはならなくなって、さらに耐性化が進みます。

 

全然他人事ではありません

 

抗生剤を多用すると、のちのち自分の首をしめるのです。

いよいよ大病をしたときに、効く抗生剤がない!なんて嫌ではないですか?

 

だから、私は必要のない時に抗生剤を使うのはさけたいと思っています。

とくに、未来のあるこどもたちには、できるだけ抗生剤を使いたくないと思っています。

 

抗生剤のデメリット:常在菌へのダメージ

 

鼻風邪・のど風邪のところで、

「ウィルス感染によって常在菌もダメージをうけてしまう。常在菌が元に戻るのに1~2週間かかるので、風邪が治った後も1~2週間は新たな風邪をひきやすい状態になってしまっている。」

とお話をしました。

 

鼻風邪・のど風邪に抗生剤を使うとどうなるでしょう。

抗生剤は、私たちを守ってくれている大切なバリアである常在菌をやっつけます。

常在菌は細菌ですからね。抗生剤でやられます。

 

抗生剤を使うと、常在菌はウィルスに荒らされてダメージをくらうだけでなく、抗生剤によるダメージも受けてしまうわけです。ダブルパンチです。

 

ということは、常在菌が元の状態に戻るのにも時間がかかるということです。

抗生剤を使わなければ1~2週間で元に戻るところ、抗生剤を使うと数週間~数か月かかる、あるいは同じようには戻らない可能性もあるといわれています。

 

抗生剤を使うと、風邪が治った後、数週間から数か月、新たな風邪をひきやすい状態になってしまうということです。

 

ウィルス感染には抗生剤は効きません。

ウィルス感染に抗生剤を使うということは、無駄に常在菌だけ弱らせているだけになってしまっている可能性があります。「一応、、、」とか「心配だから、、、」で抗生剤を使うのではなく、なるべく風邪は自力で治した方がいいと思っています。

 

また、毎月のように風邪をひいて、その度に抗生剤のお世話になっている患者さんがいらっしゃいます。毎月風邪をひくということは、基本的にオーバーワークで体を十分に休め切れていないのだとは思います。ついつい頑張ってしまう頑張り屋さんな方なのでしょう。

 

ただ、毎回抗生剤を使うということは「風邪→抗生剤→常在菌がダメージうけて風邪をひきやすくなる→風邪→…」の悪循環に陥っている可能性があります。少しゆっくりできそうなときは、抗生剤を飲まずに体をやすめて自力で治すことも、時には必要なんじゃないかな、と思います。

 

休めないときは、こじらせて細菌感染になるのを予防するために抗生剤に頼るのも仕方がないとは思いますが、抗生剤飲んでいるからといつも通りの生活はしないでほしいんです。夜はなんとなくスマホいじったりとかせず、早く寝る。休日は遠出したりせずに、できれば自宅でゆっくりしてほしいです。

 

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